シュツットガルトバレエ「オネーギン」大阪公演

2008-12-05

2008年12月2日〔火〕6:30より大阪フェスティバルホール
振付:ジョン・クランコ
オネーギン:イリ・イェリネク
レンスキー:フリーデマン・フォーゲル
ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム
タチヤーナ:アリシア・アマトリアン
オリガ:カーチャ・ヴュンシュ
乳母:ルドミラ・ボガード
グレーミン公爵:ダミアーノ・ペテネッラ

いつか絶対に見たいと思っていたバレエ「オネーギン」やっと全幕を見ることができて
とっても幸せです。しかも、期待を裏切らない素晴らしいものでした。
バレエを超えたバレエ、バレエという手法を使ったドラマでした。
すべての踊り、動き、からせりふが聞こえてくるような振付。
ダンサーのテクニックとかをうんぬん言うようなことは無駄。
不安定なピルエットだったとしても、それが
その人物の不安定な心を表しているのだと思える。
音楽より先走っていたとしても、その人物の心が疾走しているのだと思える。
音楽も振付もダンサーも全てが物語を語るのに完璧に思えました。

1幕はとっても明るい雰囲気で始まります。若い男女の若さあふれる踊りが素敵です。
みんなとてもはつらつとしていて、これからどんな明るい未来が待っているのだろうと
素敵な恋に期待をしています。
タチヤーナはそんな彼女達とちょっと違っていて本を読みふけり
小説の中のような非現実的な恋に憧れているようです。
現実的な妹のオリガは既に素敵な恋人レンスキーがいて二人で
ラブラブのパドドゥを踊ります。
オリガ役のカーチャはソロのダンスではちょっと不安定な感じでしたが、
フォーゲル君とのパドドゥでは幸せ感いっぱいでとても美しく踊ります。
フォーゲル君のサポートが良いのでしょうか。
フォーゲル君の登場に拍手が起こりました。
いつ見ても本当に美しく、ロマンティックなオーラがあります。
オネーギンは登場してしばらく、舞台奥で背を向けたまま。
レンスキーが思い出したように「そうだ、友達を連れてきたんだ」と
紹介されて始めてこちらを向きます。拍手なし(汗)タイミング的にしょうがないか。
周りのみんなと明らかに違う雰囲気を持っているオネーギン。
タチヤーナが小説の中の人物と重ね合わせてこの人こそ私の理想の人!と
思ってしまったのもうなずけます。
タチヤーナに紳士的に接するオネーギン。
でも、二人で踊っていても途中でふっと自分の世界に入ってしまい
タチヤーナのことをほったらかしにすることが何度も。
それさえもタチヤーナにとっては魅力的に感じられる。

寝室でのタチヤーナの鏡のパドドゥでは、オネーギンはタチヤーナの想像の中の人格で
さきほどのオネーギンとは別人だというのがはっきりわかるダンスでした。
イリ、すごいです。
優しく、時に激しく強く彼女を求めています。
ここの振付もものすごかったです。
マクミラン、ノイマイヤーが影響を受けたというのがはっきりわかりました。
最初にこんな振付をやってみよう、できると考えたのはすごい人です。
ここでのアリシアの踊りは圧巻でした。
その体の柔軟性を存分に生かして、上体を思いっきり弓なりに反らしキープ。
どんなに振り回されても彼のペースに合わせて踊る。
私はあなたのものよ!という気持ちを全身全霊で語っていました。
テクニックをうんぬんしないと言っておきながらなんですが、
体が柔軟な上にしっかりキープする力もあるすごい身体能力です。

2幕は熱烈な恋文を渡した後の悲しい失恋の場面。
そわそわしているタチヤーナ、返事をしようと機会をうかがうオネーギン。
周りの目がなくなるチャンスを待っているが中々タイミングが来ない。
またみんなが戻ってきたので、返しかけた手紙をさりげなく懐に戻して
タチヤーナと踊る。
タチヤーナは少し嫌な予感がして心配になりながら踊る。
そして、二人になったとき手紙を返そうとするが、必死で断るタチヤーナ。
困ってしまったオネーギンはきっぱりとした態度に出なくてはいけないと
手紙をびりびりに破いてタチヤーナの手に無理矢理乗せる。
そこへ、みんなが戻ってきてさっきから心配していた友達がタチヤーナの様子に気付き
落ちていた手紙を拾いタチヤーナと去っていく。
なんてひどいことを、と思いましたが、よく考えてみるとオネーギンは別に極悪非道な
人とは思えなくなってきました。
立派な大人であるオネーギンが10代の恋に恋してるような幼い少女から
好きです、と打ち明けられても断るのが普通の分別ある大人の男としては当然のことです。
ありがとう、僕も好きだよ!なんて言う方がひどいとも思えます。
思わせぶりな態度で優しく断ったとしても思いを募らせるだけだと考えて
ここはきっぱりと自分への思いを断ち切る手段に出ようという
オネーギンの誠意だったのでしょう。
そして、妹のオリガにちょっかいをかけて僕はこんないい加減な汚い男なんだよ、
と言いたかったのではないかとさえ、深読みしてしまいました。
オリガは恋人がいるしちょっかいかけても自分になびいては来ないと思っていたら
オリガも自分にぞっこんのレンスキーにちょっと物足りなさを感じていて
ちょっとからかってみようという無邪気な気持ちからオネーギンに気のある振りをしてしまう。
そんなオリガの予想外の反応に、オネーギンはとまどってしまう。
純粋なレンスキーには耐えられなくて、本気で怒り出すのを見て、
もうこれくらいにしようと、オリガをレンスキーにほらよ!って感じで渡す。
KYなオリガはまたオネーギンと踊る。
オリガにも悪気はなかったと思うけど、レンスキーの怒り様は
尋常ではなかったので、見てる私も「もうやめてあげて!」といいたくなりました。
オリガにとってもレンスキーとは違ってキケンな大人の香りのオネーギンは
魅力的だったろうし、あれほどあからさまにヤキモチを焼いてくれる恋人を見るのも
嬉しかったり、周りのみんなにも私はこんなに愛されてるのよ!と自慢にも思えたでしょう。
そんなちょっとしたいたずら心が大きな悲劇になろうとは…。

決闘の場面も圧巻。
あの舞台の造りもすごくよくできていて、怒りに燃えて一点しか見えなくなっているレンスキー、
決闘に向うオネーギンの後悔、苦しみ、どうすればよいのか、何とかしてこの場を逃れることは
できないのかと思い悩む姿の対比が見事。
最後の見せ場のレンスキーのフォーゲル君も素晴らしかったです。
続きはまたあとで…。

theme : バレエ
genre : 学問・文化・芸術

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